私が春日鋼業株式会社の代表に就任してから、2023年で38年を迎えました。ずっと背中を追いかけてきた先代の在任期間を超え、これからは正真正銘、私は自分自身の足で未来に向かって、この春日鋼業とともに歩んでいかなければなりません。

これまで私たちは日本の基幹産業の一つである自動車業界を通じて、バブル崩壊からリーマンショック、世界各地における数々の争いごとを目の当たりにしてきました。激変する世界情勢と急速な技術の進化の波に翻弄されながらも、常に私の念頭には、当社の社是である「誠実・努力・調和」がありました。

一人一人が互いの個を尊重し合い、調和を築こうと努力する姿勢と関係性こそが、社会や企業の成長や発展には欠かすことができない大切なものであると私は確信しています。そして、春日鋼業が第三創業期に入ろうとするこのタイミングで新たなスタートラインに立った私は、改めて先代が掲げたこの社是の重みを双肩に感じています。

大きな飛躍も輝かしい栄光も、必ずその後ろにはたくさんの人がコツコツと築きあげてきた礎があります。私たちはより良い未来を見据えながらも、160年の歴史の上に一つずつブロックを積み上げていくように、今日も変わらず技術の研鑽に励んでいく所存でございます。

これまで当社をご支援・ご贔屓下さった皆さま方におかれましては、これからの春日鋼業の成長を温かく見守っていただけますと幸いです。

どうか今後もいっそうのご厚誼を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

私たちは創業以来、伸線に特化した二次加工メーカーとして、鋼線の製造、技術の開発・改良に努めてきました。
産業のコメと言われる鉄鋼業界の一端を担う企業として、日本の工業会の発展に力を尽くしてきました。

自動車や造船の製造技術、製品が世界トップレベルを誇るのも、高品質な日本の鋼材が果たしてきた役割は大きいと考えます。
私たちはモノづくりの基礎となる材料の提供への自負と責任を持って、日々製品づくりに取り組んでいます。

時代の要請、課題によって、お客さまのニーズは変化します。
品質、コストはもちろんのこと、昨今では安全、環境、リサイクルなど、新たなキーワードが加わりました。
私たちは新たなニーズに応える技術開発、生産計画に注力しています。

また今後は、自動車産業向けの冷間圧造用鋼線を中心とした、高品質な製品を提供し、独自の技術力を高めていきます。
歴史ある伸線業で培った実績やノウハウを基盤に置きながら、既成概念にとらわれず、時代の要請に応える伸線業を極めてまいります。